耳を塞ぐ男の子

我が子は、2歳半くらいから突然耳ふさぎが始まりました。

最初は、頻度も少なく「なんだろうな・・」と思っていた程度だったのが頻繁に塞ぐようになり、その姿にすごく不安に。どうしたら良いのか、この先耳塞ぎはなくなるのか、先の見えない不安に押しつぶされそうでした。

きっと同じような思いを今現在抱えておられる方も多いのではないでしょうか。

ということで、そんな子が成長するにつれてどうなったか、我が家の例をまとめておこうと思います。

発達障害!聴覚過敏、耳ふさぎ、成長するとどうなった!?体験談!

雷の音に怖がる子ども達

まず結論からいうと、小学校高学年の頃にはほとんど耳を塞がなくなり、聴覚過敏の程度も弱くなりました。未就園児や園児の頃に耳を塞ぎながら泣いていた音もほとんど大丈夫になりましたね。

ただ、やはり聴覚過敏は健在で、一部のどうしても耐えられない音の時だけ耳を塞いだり回避したりします。映画館などは音がきつようで、好んでは行きません。

音楽コンサートや学校の合唱なども低学年までは苦しくて泣いて会場から出ることがありましたが、中高学年になると耐えられる程度になってきたと自分で話すようになりました。

なにより自分で「音が苦手だから出たい」とSOS出し、自分の意思でその場から出られると分かったことで安心して参加できるようになったようです。でも、総合的に見ると小さいころは想像できなかったほど、耳塞ぎの頻度は減りました。

では、娘の聴覚過敏、どんな道のりを辿ってきたのでしょうか。具体的に苦手な音や年齢と共にどう変化していたのか参考程度にまとめておきたいと思います。

我が子の聴覚過敏、耳塞ぎの道のり!

道

我が家の場合、子どもの聴覚過敏に気づいたのは、耳ふさぎが頻繁に見られるようになった2歳半頃くらいからでした。

でもよくよく考えれば、乳児の頃からとにかく泣く子で夜中は15分起きに泣くことが続いたんですよね。母である私が精神的にキツかったのを覚えています。そんな過去を振り返ると、夜泣きは音が原因だったのではないかと思います。

そんな耳塞ぎをする子を見て心配が募っていた矢先に、保育士の先生から耳塞ぎを指摘され、「中耳炎が悪化して耳を塞ぐ子もいるから耳鼻科に行ってみたら?」とアドバイスを受けたんです。

そんなアドバイスに確かに一理あるなということで、耳鼻科に相談。「音に反応するし、耳を見ても異常はないけれど、町の耳鼻科では幼児の聴力検査は難しい。気になるのであれば大学病院で検査を。」ということで、紹介状を書いていただきました。

この時すでに、発達障害のお子さんが抱える特徴に聴覚過敏があることは調べて分かっていました。なので、大学病院で受ける聴力検査で問題がないと分かれば、聴覚過敏の可能性が強いと理解しました。

はっきりさせたい!という思いから大学病院の聴力検査を受けました。

そして聴力検査は異常なし。その際に医師からも聴力検査で異常がない場合でも発達上の問題で聴覚過敏というのがあり、その場合は耳塞ぎが見られるケースがあると伝えられました。そんな背景から、聴覚過敏が明確になりました。

また、娘の場合は音以外にも驚いた時に耳を塞ぐ姿も見られました。なので、特に未就園児の頃はしょっちゅう耳を塞いでいて、もう明らかに「この子どうしたんだろう?」という視線が向けられている気がして、外出さえ億劫だった時期がありましたね。

そんな娘ですが、年齢と共も聴覚過敏の程度が弱くなっていきました。なので、未就園児よりもよりも園児の方が耳を塞ぐ頻度は減っていき、園児の頃より小学生になった方が軽くなっていたのですが・・。

娘の場合、聴覚過敏の程度が精神状態とリンクしているようで、精神的に不安定になると一時的に聴覚過敏が強まったことがあります。それが、就学後すぐの時期や進級の時期。そんな時はまた一気に耳塞ぎが増えていました。環境変化が聴覚過敏に影響したのではと考えています。

では実際、どんな音や場面で耳塞ぎをしていたのか、簡単にまとめると次の通り。

年齢別!どんな場面で耳ふさぎをしていた!?

2歳半~3歳半くらい

  • 掃除機の音に耳を塞いで大泣き
  • 暗い部屋(夜中)のエアコンの音に耳を塞いで大泣き
  • おいかけっこで頻繁に耳ふさぎ
  • 人を見ると耳ふさぎ
  • 怖いと思うと耳ふさぎ

 

3歳半~5歳くらい

  • 掃除機をかけると耳を塞ぐ、別の部屋に逃げる
  • 暗い部屋(夜中)のエアコンに耳ふさぎ
  • 工事現場の音に耳ふさぎ
  • バイクの音や一部車の音に耳塞ぎ
  • テレビをつけると耳塞ぎ
  • 怖いと思うと耳ふさぎ

 

5歳くらいから~

  • 一部の工事現場で耳を塞ぐ
  • 特定の車のカーナビのアナウンスの声に耳ふさぎ
  • バイクや一部の車の音に耳塞ぎ
  • テレビをつけると耳塞ぎ
  • 怖いと思うと耳ふさぎ

 

就学後(低学年~)

  • バイクや一部車の音に耳ふさぎ
  • 子供の集団の声に耳塞ぎ
  • 合唱やコンサートで耳塞ぎ
  • ざわざわとした公共の場で耳塞ぎ
  • おせんべいを食べる音で耳塞ぎ

 

就学後(高学年~)

  • バイクや一部車の音でたまに耳ふさぎ
  • 合唱やコンサートでたまに耳塞ぎ

思いつく限りに記載しましたが、未就園児の頃はとにかくしょっちゅう耳塞ぎをしていました。

そんな娘、不思議だったのが、人の声や音にはとても敏感なのですが、自分の声には無頓着。娘はパニックになって「キー」というような聞くに堪えかねる奇声を上げることがあり、声もとても大きかったのですが、自分の声は全く気にならないんですよね。「自分のことは棚に上げて!」となんだか腹立たしくなったのも覚えています。

そんな頻繁にあった耳塞ぎですが、どう対処していたのでしょうか。

聴覚過敏、対処方法とは!?

聴覚過敏の対処法として次の4つの方法があり、我が家も実践していました。

  • イヤーマフ
  • 耳塞ぎ
  • 不快な音や場所の回避
  • 音への理解を深める

イヤーマフ

「イヤーマフ」とは、聴覚過敏用の方向けのイヤホンで大きな音を遮断できるようになっているもの。サイズも色々とあり、ネットでも数多く販売されているので価格もなんとなく目安をつけることができます。

>>イヤーマフを見てみる(楽天市場)(amazon)(Yahoo!ショッピング)

このイヤーマフ、実施に街中で成人の方が着けているのを見かけたことがあります。ただ、外出時は交通安全や緊急の場面において装着には注意が必要だと聞きましたね。我が家の場合、勉強に集中するとき、家庭で音が辛い時、学校で勉強するときといった限定的な使用をオススメされました。

ちなみに、このイヤーマフ、我が子はお試しで2週間借りたのですが、合いませんでした。装着感が嫌で、着けるのを拒否。我が子のように装着感が嫌というお子さんも結構いるのだそうです。

なので、検討している方は、まずレンタルから始めてみるという選択肢もあります。オンラインでレンタルをされているところもありますが、一部民間の療育施設でレンタルをしているところもあります。

>>イヤーマフのレンタル(FLY!BIRDさん)

耳塞ぎ

耳を塞ぐ男の子

次に、聴覚過敏の対処法としてあるのが、我が娘が頻繁にやっていた「耳塞ぎ」ですよね。咄嗟に出来る手段としては手があればどこでも出来ること、周りが「音が嫌なのかな」と察してもらえることがメリットでした。

一方で、耳塞ぎという行動は結構目立つため、周りから「何かおかしいのでは?」、「病院に連れていった方が良いんじゃない?」と指摘されることも多かったんですよね。その都度毎回説明したり、不安にさらされることになり、母としては外出がしんどいと思うことが多々ありました。特に子どもに特性があると周りに言っていない時の方がしんどかったですね。

不快な音や場所の回避

出口

次に「不快な音や場所の回避」。これは私がもっと対処法として使えば良かったと振り返って反省している点です。

耳塞ぎが頻繁な頃、成長したらどうなるのか先が見えない不安から、「今慣れさせないと」という焦りが先立ってしまって、耳を塞がないで出来るだけ慣れさせようとしていました。

特に未就園児の頃や幼児の頃は、理解力がない分、音への恐怖が大きいはず。もし私が、聴覚過敏の程度が成長と共に軽くなっていくと分かっていたなら、子どもの心の安定のために恐怖にさらして慣れされるのではなく、もっと回避させてあげれば良かったと感じています。

ちなみに、この音の慣れについては、もちろん慣れも必要なのかもしれませんが、我が子を見ていると、ある程度のラインまで恐怖や不安、不快感が下がっていないと、慣れるということは難しかったと感じています。

音への理解を深める

音符

娘の場合、この「音への理解を深める」ことはかなりの効果がありました。掃除機の音が苦手な際に、その音が出る掃除機の中を見せてあげたり、どうして掃除機が必要なのかを言葉で伝えたりしていました。

エアコンの音もそうですね、ちょっと開けて見せてあげたり、エアコンがお部屋を涼しくしてくれる、温かくしてくれるなどを繰り返し教えていました。

そうすると、娘の場合は音への恐怖が弱まるのか、理解が増すにつれ耳塞ぎが減っていく傾向がありました。

聴覚過敏が原因でトラブル!?気を付けておきたいこと!

四つ葉のクローバー

娘が幼稚園の頃、電車に乗っていた際に横の人の声が煩わしくて、大きな声で「うるさい」と言ってしまったことがありました。その横の人の声は私にとっては決して大きくはなかったのですが、娘にとっては不快だったようで咄嗟に「うるさい」と言葉が出てしまったのです。

どちらかというと娘の「うるさい」の方が声が大きかった気がしたくらいなのですが・・。

案の定、その横の方からはジロリと睨まれる始末、思わず「ヒヤリ」とした瞬間でした。たまたま女性の方で、そのまま何も起きずに済みましたが、人によっては不快になられる可能性があり、万が一を考えると「うるさい」という言葉はリスクがあることを知りました。

かといって、音が嫌なものは嫌なわけで、「不快な気持ちを表現するな!」というのはあまりにも酷。そう考えると、「うるさい」という言葉をもっと柔らかい言葉に置き換えられないかと考えました。

そこで使い始めたのが「苦手」という言葉。「うるさい」の代わりに「音が苦手」「音が大きい」という言葉にシフトするよう何度も繰り返し教えることに。

この「うるさい」という言葉、聴覚過敏だからこそ抱えるリスクだと思います。

耳塞ぎが減った、聴覚過敏が軽くなった理由は!?

四葉のクローバー

娘の場合、就学時に一旦耳塞ぎが増えましたが、そういった環境面や精神的でストレスがかかっている時を覗いては、年齢と共に耳塞ぎはどんどん減っていきました。

また、「音が苦手」と言ってくることも減りましたね。つまり、聴覚過敏の程度が軽くなったということになります。では、どうして、聴覚過敏が軽くなり、耳塞ぎが減ったのでしょうか!?

娘を見ていて、理由として見られるのが下記2つです。

  1. 成長と共に理解力がついたこと!
  2. 「音が苦手だ」と言葉で表現できるようになったこと!

例えば、掃除機なんですが、赤ちゃんの頃は掃除機をかけると泣き、幼児の頃は掃除機をかけると耳を塞ぎ大泣きでした。

ところが、幼児の頃に掃除機の中をくまなく見せてみたんです。分解できるところは分解して、掃除機はこういう作りで大きな音がするけれどそのおかげでゴミを拾ってくれるんだというような感じで説明を繰り返しました。

すると、見えない「音」がなんとなくイメージ出来たことによって、さほど掃除機の音に怖がらなくなったんです。

その調子で、娘が怖がる「音」の正体を、出来る限り視覚化して説明していくことにすると、やはり落ち着くんですよね。これが1つ目の理由。

2つ目の理由である「音が苦手だ」と言葉で表現できるようになったことですが、言葉で表現することで周りの人にSOSを出せるようになります。そうなれば、周りの人もこの子はこういう音が不快なんだと理解してくれるようになり、回避できるまでの時間が短くなり、回避できる機会が多くなるんですよね。

そうなると安心感が増し耳塞ぎの頻度が減る、こういった好循環が生まれました。これが2つ目の理由。

つまり、娘の場合は認知力(理解力)の成長と言語発達による安心感から、耳塞ぎが減ったということになります。

以上が、『聴覚過敏や耳ふさぎについて』でした。

聴覚過敏が強く、両耳を塞ぐことが頻繁にあったころは、成長するとどうなるかが想像できず、周りからの視線や耳ふさぎについて聞かれる度に追い詰められていた気がします。

そんな葛藤する時間をよそに、娘もやっぱり成長していくわけで、この耳ふさぎも驚くほどなくなり今はあまり見られません。

この記事が少しでも今ある葛藤や問題が軽減される可能性があるということ、そんな目先の可能性を感じ、少しでもホッとする一時となれば幸いです。

おすすめの記事